親ばかちゃんりん

「おとうさん、自転車出しといて」
「わかった」
魔法のひと声である。ほいほいと暑い中を納屋まですっ飛んでいく。自転車を引っ張り出す。
今日は娘が初めて体験する教育実習で、お世話になる幼稚園にあいさつに行くらしい。
自転車通勤だと、朝からしゃかりきになっている。
昨夜も慌てて髪を黒く染めていた。
「行ってきます」
バタバタと出ていく娘に、あきれる。
しかし、この暑さの中、
スーツで自転車も大変だ。
きっと帰ってきたら大騒ぎだ。
思わずクスッ!
毎度のことだから、その情景がすぐ浮かぶ。
(あと2年か……)
妙にしんみりしてしまう二按貸款
(よし!)
娘がかえってきて何を要求しても
応えられるように用意をしておこう。
昼ご飯を食べずに出たから、
帰ってきたら、
「おなか減ったー!」が第一声だろう。
冷たいものがいいかな?
わがままだから、どんな注文を出すか
知れたものではない。
ガサゴソと食べ物を用意する。
この時間が、最高に幸せな時だ。
娘に必要とされるのも、
あと数年。
うん。思い切りわがままを聞いてやろう。
大事な末っ娘だ。


昨日は娘に振り回された1日でした。
ともあれ、親ばかぶりを書いてみました。
ええ加減にせいと言わないでくさいね。イヒヒヒヒヒ。